5月13日、衆議院 決算行政監視委員会第四分科会(国土交通省・外務省・法務省所管)にて主に国土交通省に関する質問に立ち、政府の見解を質しました。
質疑の概要を勝目事務所においてまとめましたので、長文につき恐縮ですが、掲載いたします。なお、正確なやりとりについては、議事録をご覧下さい。
Ⅰ 観光
1 オーバーツーリズムについて
【勝目】
この委員会は、令和2年度から4年度までの決算が対象。緊急事態宣言が出され、観光分野が未曽有の厳しい状況に陥り、そこから徐々に回復をしてきた期間に当たる。
その後、去年5月にコロナも感染症法上5類に、観光は今やコロナ前を超える勢いで活発になり、私の地元京都市を始め観光地では、またオーバーツーリズムが指摘されるようになっている。
ここで相変わらず「観光公害」という言葉を用いるケースが見られる。もう二度とコロナのときのような目には遭いたくないという事業者やそこで働いている皆さんの思い、気持ちを忘れて、観光産業をおとしめ、観光客に対する地元の反感をあおり、そして関係者の心情を傷つける極めて不適切な表現ではないかと考えている。
ただ、もちろん、地域における生活と観光の調和、両立を図るという観点では山ほど課題があることもまた事実で、しっかり向き合い、解決をしていかなければならない。
そこでまず総括的な質問であるが、国交省としてオーバーツーリズムに対してどのように認識をされ、これまでの対策、また今後どうするか、國場副大臣にお伺いしたい。
【國場国土交通副大臣】
国内外の観光需要の急速な回復に伴い、多くの観光地がにぎわいを取り戻す一方で、一部の地域や時間帯においては混雑やマナー違反による地域住民の生活への影響や旅行者の満足度の低下といった懸念が生じている。
こうした課題に対処するため、昨年10月の観光立国推進閣僚会議において、オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージが決定された。また、これを受け、令和5年度補正予算、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」において、住民の方々を含めた地域の関係者による協議に基づく計画の策定や、具体的な取組の実施を総合的に支援することとしており、本年3月、先駆モデル地域として20地域を採択した。
これらの地域においては、今後、地域の関係者による協議を踏まえ、例えば、京都市では、住民の方々が利用する一般の路線バスに加えて、通常運賃よりも高い価格を設定し、京都駅と主要観光スポットをダイレクトに結ぶ観光特急バスを新設する、北海道美瑛町では、AIカメラの活用やデジタルサイネージの設置を通じた、私有地への無断立入り行為の抑制を図るなど、各地域の実情に応じた取組が進められる予定。
国土交通省としては、地域の実情に応じた具体策が進み、観光客の受入れと住民の生活の質の確保の両方が図られるよう、地域における意欲的な取組をしっかりと支援していく。
【勝目】
このオーバーツーリズム対策の事業、京都市も選んでいただき有難い。今ほど言及があったように、やはり混雑やごみ問題、そして、本来静ひつな場所での振舞いといったマナーの問題が地元の負担感に直結をしていることがオーバーツーリズムの問題の本質。
特に、マナーについては、日本特有のものも多々あり、訪日外国人に対し効果的に啓発し、届けないといけない。どのようにされるか、お聞かせいただきたい。
【観光庁次長】
訪日外国人旅行者に対するマナーの啓発は、地域住民の方々の生活への配慮という観点と、観光客の方々の快適な旅行という観点の双方から大変重要な課題と認識している。
このため、観光庁としては、公共交通機関、あるいは観光地、宿泊施設など、シチュエーション別に訪日外国人旅行者向けマナー啓発動画を作成し、観光庁ホームページで公開するとともに、宿泊施設や観光案内所などにおける活用を促している。
また、マナー啓発に向けたデジタルサイネージや看板の導入などに対する補助も行っており、例えば、京都駅や地下鉄烏丸御池駅におけるデジタルサイネージの設置、祇園エリアにおける高札の設置などにも活用いただいている。
さらに、現在、オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージに基づき、統一のピクトグラムや、旅行者の意識の持ち方や行動例を示す旅行者向け指針の策定に取り組んでいる。
これらの取組と併せて、SNSなど様々なツールを活用して、いわゆる旅中におけるマナー啓発だけでなくて、旅マエの段階から訪日外国人旅行者に対するマナー啓発に取り組んでいく。
【勝目】
おっしゃるとおり、旅マエから日本というのはこういうところなんだということを分かって来てもらうことは非常に大事だと思う。
ただ、旅マエというのはアプローチがやはりどうしても難しい。今おっしゃった様々な手法を使っていただきたいし、国交省さんは航空局も所管されているので、日本に入ってくる航空便のモニターで最後に日本のマナーはこうだと、ピクトグラムにしても動画にしても、そういうものをお示しすると入国する人全員がそれを見るという効果もあるのではないかと思うので、様々な御工夫をいただきたい。
そしてまた、ごみ問題なんかはやはり財政負担なり地元の負担に直結するので、こういうところを何とかお支えをしていただけるとありがたい、という意味で、マネタイズのあり方を深めていきたい。
混雑対策、地元案件で2点ほどお伺いしたい。
まず京都駅について。1日70万人以上乗降客があり、多くの観光客の方、ビジネス客の方、そしてもちろん地元の生活者が行き交って大変な混雑になっている。特に嵐山方面に行く嵯峨野線が西の方にあって頭端式ホームなので、自由通路が大変な混雑になっている。この混雑対策の一環として、JR西日本と連携をする形で、京都市が、京都駅の西側に橋上駅舎と自由通路を新設するという事業を今年度から予算化をしている。これは国交省として是非しっかり応援いただきたいので、お考えを伺う。
二点目はバスについて。先ほど観光特急バスの話があったが、本来認められていない大型荷物の持ち込みが常態化していることもあり、大変な混雑である。
この特急バス、料金を違えるという全国初の取組に加えて、市民の価格とそうではない方の価格に差をつけるなど、柔軟な取組も検討しているところであり、これも国交省さんの御支援がなくてはできないことであるが、お考えを伺う。
【国土交通省都市局長】
御質問の新たな自由通路の整備については、混雑をしている既存の南北自由通路の西側に新たな自由通路等を整備することで、人の流れを京都駅の西側へ誘導、分散し、既存の南北自由通路だけではなく、京都駅周辺地域全体としての混雑の解消、活性化につながる重要な事業であると認識している。
国土交通省としては、令和6年度から、京都市やJR西日本などから構成される京都駅周辺地区都市再生協議会に対し、補助金により支援をしているが、早期に事業効果を発現させるため、引き続き支援してまいりたい。
【国土交通省自動車局長】
二点目の路線バス、二重の運賃、市民は安い、異なる運賃を設定するということについてお答えする。
まず、制度面であるが、乗り合いバスの運賃については、道路運送法において、特定の旅客に対して不当な差別的取扱いをすることを禁じている。どのような運賃が不当差別となるかについては、個別の事案ごとに判断することになるが、一般論として申し上げれば、人種や性別など利用者の属性を理由に同一区間で異なる運賃額を設定することは、この法律が禁じている不当な差別的取扱いに該当するおそれがある。
そのため、御指摘のような運賃設定を行うことについて、その目的や目的を達成する手段として適切かどうかについて、京都市及び京都市交通局の考えをお聞きし、個別に判断をする必要があると考えており、現在、本件について市交通局と継続的な協議を実施している。
引き続き、京都市及び市交通局からの御相談に対して丁寧にお話を伺い、必要な助言、検討を行っていく。
【勝目】
いずれも心強い御答弁をありがたい。特に、バスについては、是非相談に乗っていただいて、その実現に向けて前へ進めていきたい。
2 観光コンテンツのマネタイズと地域への循環の仕組みづくりについて
【勝目】
続いて、観光のマネタイズについてお伺いしたい。オーバーツーリズムが敬遠されるのは、やはりお客さんが来て、負担がある、それに見合った利益、収益が果たしてあるんだろうか、その実感が地元になかなかないというときに非常に顕在化してくる。だから、観光コンテンツといったものをしっかりマネタイズする、稼ぐ、そして担い手に還元していく、この仕組みをつくるのが大事。
インバウンド振興については、訪日客というお客さんの数だけではなくて、旅行消費額で捉えていこうということで、去年1年間でも5.3兆円、5兆円を超えてきた。これはすごいことだなと思うが、ここから更にもう一歩踏み込んでいきたい。つまり、この旅行消費額も中身が問われるのではないかということである。
今、これだけの円安なので、訪日客にとってみたら、免税以上に、日本で買物をするというのは安い。こういうときに、海外のブランド品であるとか洋酒、洋たばこ、これで消費額を稼いでも効果が非常に限られるのではないか。本来であれば、伝統工芸品や和雑貨、食品、お酒、もちろん、マーケットイン型のデザインとか機能とか味とか、こういうものは必要であるが、どうせ免税にするんだったら、こういうもののプロモーションにつなげていく方が効果があるし、作り手にも還元されるのではないかと考える。
尾﨑政務官の御地元高知もすばらしいものがいろいろあると思うが、この点いかがか。
【尾﨑国土交通大臣政務官】
訪日外国人旅行消費額は、御指摘のとおり、2023年に過去最高の5.3兆円となっており、こうした消費を我が国経済の成長や地域活性化につなげることが確かに重要だと考えている。
このため、国土交通省では、消費拡大や地方誘客に効果の高いコンテンツの整備や、我が国観光の魅力の戦略的な発信等に取り組んでおり、日本における地域ならではの産品等の消費拡大にも資するように、訪日誘客を進めている。
具体的には、日本政府観光局において、日本全体への誘客を促進する観点から、日本の食文化、自然など、日本全体の魅力を織り込む戦略的な訪日プロモーションを実施しており、さらに、インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた全国各地の観光コンテンツ造成を支援するに当たっては、このJNTOによるプロモーションも踏まえつつ、日本ならでは、及び各地の産品を活用した事業を積極的に採択をし、お土産としての購入や帰国後の通販による購入も視野に入れて、訪日外国人による消費拡大を促進するべく、日本の消費拡大につながるように取り組んでいくべく努力をしている。
引き続き、訪日外国人の消費の内容にも注目しながら、2030年6千万人、15兆円という目標の達成に向け取り組んでまいります。
【勝目】
確かに、元々から日本に来てこれを買いたいなと思っていただくのがまず取っかかりだと思うので、その事業をしっかりやっていただきたいし、今ほど例示として挙げるのを忘れていたが、漫画、アニメ、ゲームなどのキャラクターグッズ系、こういうものも非常に訴求力がある。なので、こういうものにしっかりつなげていく。是非その取組を更に拡大をしていただければと思う。
続いて、マネタイズで非常に難しい分野として、例えば、自然の景観を楽しむであるとか、町並み、あるいは、最近だと商店街、こういう観光コンテンツ、本来は観光コンテンツというよりも普段からそこにあるものが、そこに行きたいということでたくさんの方が来られる。
これは経済学でいうところの「非排除性」と「非競合性」があるまさに公共財そのものであり、関所を設けるわけにもいかず、お金を徴収することが技術的には難しいところもある。ただ、やはりこういうところで地元にお金が落ちないと、負担ばかりだなということになってしまう。
これらの分野のコンテンツのマネタイズについて、お知恵を聞かせていただければ。
【尾﨑国土交通大臣政務官】
委員御指摘のとおり、観光を通じた地域活性化のためには、観光客の来訪を地域における消費へ結びつけることが重要と考えている。
このため、国土交通省としては、御指摘の自然景観や歴史的、文化的な町並みなど、そのままでは消費に結びつかない地域資源について消費に結びつける仕掛け、すなわち、観光商品としての造成や商業利用の仕組みづくりを積極的に行うよう取り組んでいくことが大事だと考えている。
例えば、旅行者が自然保全活動に参加するツアーの造成を図るだとか、例えば清流、それがそのままでは消費に結びつかないわけでありますが、あえて屋形船を通すことで消費に結びつけていくだとか、さらには宿泊や飲食施設として利用するために古民家の改装等を図るだとか、このような取組を支援していく、そういう考え方が大事だと考えている。
また、このような地域資源を観光に活用することにより、収益の一部を地域資源の保全に還元する好循環の仕組みづくり、こういうことについても大事ではないかと考える。
【勝目】
あとは、例えば、料金を義務的に取るわけではないものの、いわゆるサジェステッド、任意でお金を払って、ここで楽しませてもらうんだから協力しようという、キャッシュレスで払える、そのようなものの設置なども、これはまず一義的には地元で考えるべき話だけれども、いろいろな支援メニューも考えていただき、そのままだと負担ばかりが増すような観光においても、しっかり循環ができる仕組みづくりを是非お助けをいただければと考えている。
工芸品のマネタイズと作り手への循環ということでは、外務省に一点お伺いしたいのだが、今、京友禅でインドのサリーを作るというプロジェクトをやっている。3年たってデザインもかなり洗練をされてきており、去年はインドのムンバイとニューデリーで鈴木駐印大使にもお越しいただいて展示会をやり、今年は東京のインド大使館でファッションショーもやっていただいた。
釈迦に説法であるが、インドはクアッドの一角を占める極めて我が国にとって重要なパートナーであるが、やはり政治、経済に加えて文化面でも交流を重ねて多層的な関係をつくっていくことが極めて大事ではないかと考える。
この京友禅サリーの発信強化について、外務省とともに取り組んでいきたいが、いかがか。
【外務省大臣官房参事官】
日本とインドは、特別戦略的グローバルパートナーシップの下、文化、人的交流を含め、幅広い分野での協力を行ってきている。その際、日本企業の海外展開支援は重要と考えており、大使館、総領事館に日本企業支援窓口を設置する等、様々な支援をやってきている。
委員御指摘の京友禅サリーについては、インドでの普及に向けて在インド日本大使館と事業関係者の間で意見交換が実施されたことに加え、インドで開催された京友禅サリーのイベントに大使館からも広報したほか、大使館主催レセプションにも事業関係者に出展していただいたところ。
今後も、こうした取組を通じ、広く日本の伝統技術や産品の海外展開を後押ししていく。
【勝目】
これは、単に日本の伝統産業が出ていくというだけではなくて、まさにコラボ企画、向こうの伝統的な衣装を日本の技術で作る、こういう話であるので、是非総理あるいは外務大臣も含め、この発信に、共々に日印関係の深化に取り組んでいきたい。
3 修学旅行の持続性確保について
【勝目】
観光の質問の最後であるが、修学旅行について一点お伺いしたい。
修学旅行というのは、契約をしてから実際に実施するまで2, 3年のリードタイムがある。この間、物価が上がってきて、これを保護者さんに転嫁するのも難しく、原価が割れる状態で受け入れないといけない、非常に厳しい状況にあり、ここを何とかしていただきたいというのが事業者の切なる声。
これは、所管は文科省、あるいは財源を持っているという意味では内閣府など、多岐にわたるが、宿泊事業を所管される観光庁さんとして、お考えをお伺いしたい。
【観光庁次長】
修学旅行については、宿泊単価を見直した場合に保護者の負担が増加することになることから価格転嫁が難しく、一方で、昨今の物価高の影響により、修学旅行の受入れにより経営が悪化してしまう場合もあるといった声を宿泊事業者の方々からお聞きしている。
修学旅行の実施に関しては、昨今の物価高騰を踏まえて、家計の教育費負担を支援するため、内閣府が所管する重点支援地方交付金について、校外学習費を含めて積極的な活用を検討するよう、こうしたことが文部科学省から各自治体等に対して求めるなどの取組が行われていると承知している。
観光庁としても、引き続き、宿泊事業者の皆様が抱える課題をしっかりと受け止めて、文部科学省等、関係省庁に働きかけるなど、適切に対応していく。
【勝目】
是非各省連携でお願いしたい。修学旅行も当然に実施できるわけではない、その受皿がしっかり経営が回って初めて成り立つものであるので、よろしくお願いする。この点については、引き続き私の方でもフォローしてまいりたい。
Ⅱ 京都のインフラ整備について
続いて、地元のインフラ関係についてお伺いをしたい。
まず、名神と第二京阪、今、両道路は直交をしているものの、ジャンクションがなく、滋賀県方面、大阪方面と京都市中心部の円滑な交通のネックになっている。ここを一刻も早くつないでいただきたい。効果は非常に大きいわけであるけれども、いかがか。
【国土交通省道路局長】
現在、名神高速と第二京阪道路は、交差はしておるが接続していないために、相互に行き来ができないという状況。
そのため、名神高速道路の大阪、滋賀方面と第二京阪道路の京都市内方面を結ぶ京都南ジャンクションについて、令和2年11月に都市計画決定がなされ、現在、NEXCO西日本において調査設計を進めているところ。
この京都南ジャンクションができることにより、京都市内中心部と大阪、滋賀方面のアクセス性が増して利便性が向上すること、また、京都市内中心部と大阪、滋賀方面との経路が増えるということで、災害時の安全、安心の確保に寄与するなどの効果が期待されている。
引き続き、早期完成を目指し、しっかり事業を進めてまいりたい。
【勝目】
続いては、向日町駅の東口の整備と、街路事業の向日町上鳥羽線、そして牛ケ瀬馬場線について。
今、京都市は、南の方、サウスベクトルといいまして、南部地域を産業発展のフロンティアにしていこうということが期待されている。本事業は、本当に産業から物流から人材確保から住宅開発の面でも非常に大きな効果が発揮されるということで、地元でも期待をされている。こちらの推進について伺いたい。
【国土交通省都市局長】
向日町駅周辺では、駅へのアクセス向上や地域の活性化などに向け、街路事業や市街地再開発事業が進んでいる。現在、向日町上鳥羽線、牛ケ瀬馬場線については、用地取得が進められるとともに、向日町駅の東西自由通路の工事が着手されたほか、東口の駅前広場整備を含む市街地再開発事業は来年度着工予定であり、いずれの事業も順調に進捗していると伺っている。
国土交通省としては、御要望を踏まえ、引き続き支援してまいりたいと考えている。
【勝目】
この事業ができると、北摂地域と京都市の南部地域が接続されることになり、また、伏見の近鉄、地下鉄の竹田駅との連絡も非常によくなるので、もちろん、これは地元でしっかりやっていきますので、事業完遂まで御支援を賜るよう、よろしくお願いする。
次に、京都の川の安心安全、西の桂川、東の鴨川、鴨川は京都府の管理河川になるが、令和3年度、四4年度で、桂川の、私の地元の京都市南区の祥久橋という橋の下流域で大規模な河道掘削事業をやっていただいたが、これについて今後の方針を伺いたい。
【国土交通省水管理・国土保全局長】
国土交通省が管理する桂川では、平成25年9月台風18号洪水を安全に流すことを目標に、これまで久我橋周辺などにおける河道掘削や堰の撤去等を実施しており、現在は、大下津地区の川幅を広げる引き堤事業等を実施している。
また、京都府が管理する鴨川では、おおむね30年に一度発生する可能性がある降雨による洪水を安全に流下させることを整備目標として、桂川との合流点から国道一号、鳥羽大橋までを重点整備区間と位置づけて、下流から順次、河道掘削や護岸整備が進められている。
国土交通省としては、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策予算も活用して、引き続き、これらの事業の推進を図ってまいりたい。
【勝目】
京都は30年近い共産府政の間にインフラ整備が本当に遅れてしまって、街の活性化、そして安心安全、まだまだやらないといけない事業がたくさんある。どうか国交省さんの御支援をいただいて、しっかり取り組んでいきたい。
Ⅲ ライドシェアについて
【勝目】
我が国でライドシェア事業が導入されて1月が経った。質問通告した次の日に公表があったので、改めてになるが、この間の実績と評価、そして今後の方針についてお伺いしたい。
【国土交通省自動車局長】
今御質問があった自家用車活用事業であるが、4月8日に東京、京都で運行開始、続いてその後、横浜、名古屋、軽井沢でも運行が開始されている。
まず、実績であるが、5月5日までに、先ほど申し上げた5地域において、許可事業者が128者、延べ稼働台数が2,286台、延べ運行回数は1万2,628回となっている。
また、各地域のマッチング率であるが、タクシードライバーの増加の効果もあり、昨年10月、11月、12月のデータと比較して、おおむね改善されている。
次に評価であるが、このように担い手や移動の足の不足の対策として、一定の効果が発揮されつつあるのではないかと認識している。一方で、この事業が開始されてからまだ間もないこと、また、多くの地域は準備段階にあることから、その効果を現時点で評価することは適切ではないと考えている。
三つ目、今後であるが、今の状況を踏まえ、引き続き、この事業のモニタリングを行って、データを検証しながら、地域の移動の足不足を解消するため、柔軟に制度の改善を行っていく。
また、6月に向けての議論ということであるが、これは、4月から開始した事業、今般実施したタクシーの規制緩和、さらに自家用有償旅客運送制度の制度改善、これらの実施効果を検証した上で、移動の足不足が解消されているかという観点から丁寧に議論する必要があると考えている。
【勝目】
やはりこういう新しいことに取り組んでいくに当たって、まず先行的にやったデータをきっちりと押さえておく、これは非常に大事だと思います。
ライドシェアを入れるのか入れないのか、それとも、何か守旧派か改革派かのような、そういう解像度の低い議論ではなくて、国民の皆様、住民の皆様にちゃんと交通の足、移動の手段を提供できるのか否か、その手段として適切なのかということをきっちり押さえながらやっていく必要がある。
そこが十分充足している状態で更に投入してしまうと、これは典型的な供給過剰のレッドオーシャンということになるし、そうすると、運転手の処遇が下がり、質が下がり、その結果、では一体誰の得になるんだと、プラットフォーマーしか得をしていないんじゃないか、こんなことになってはいかぬわけであり、やはりおっしゃったようなデータに基づく丁寧な施策展開、これが、6月に向けてしっかりやっていただく必要がある。これこそが今求められる改革なんだということを申し上げ、質問を終えたい。
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